セルフ式ガソリンスタンドが増加する中、給油時の安全管理がこれまで以上に求められています。私たちは日常的に携帯電話を使用していますが、ガソリンスタンドでは使用を控えるよう求められています。その背景には火災事故のリスクがあり、毎年30件以上の火災が給油取扱所で発生しており、そのうち毎年10件前後は静電気が原因となっています。
近年では監視カメラシステムと組み合わせた安全管理が進化しており、ガソリンスタンド運営の安全性向上に貢献しています。Hikvision Japanでは、こうした施設向けの監視ソリューションを提供しています。
携帯電話の発する電磁波や静電気によって引火の恐れが皆無とはいえないこと、さらに通話や画面を操作することで注意力が散漫になり、吹きこぼし等につながることが主な理由です。
実際に、2015年までの10年間で、セルフスタンドでの給油中の火災は約40件発生しており、一部が静電気由来とみられています。ガソリンは揮発性が高く液体から気体に変化しやすい性質を持ち、引火しやすく爆発的に燃焼する特徴があります。給油口の周りにガソリンの蒸気が広がり、そこに静電気の火花が出ることで火が急速に燃え広がってしまいます。
石油会社各社も注意を呼びかけており、出光興産は「注意散漫となり、事故に結び付くのを防ぐのが目的」と説明し、コスモエネルギーホールディングスも「そもそもガソリンは危険物。噴きこぼれなどがないよう細心の注意が必要だ」と理解を求めています。
興味深いことに、東京消防庁の実験では携帯電話からの発信実験924回、着信実験800回、バッテリ一着脱実験を4000回行ったところ、いずれも爆発は発生せず、通常の携帯電話の使用では爆発性混合気は着火しないと結論付けられています。
消防庁は2018年8月に「通常の状況下であれば、給油所で使用しても安全上支障がない」と都道府県などに通知し、これまでスマホなどから引火したとみられる火災事例は国内では確認されていないとされています。
しかし、消防庁も「電子機器使用の安全性が確認されているとはいえ、利用者には給油中の操作は必ず控えてほしい」と強調しています。科学的には安全でも、注意散漫による事故リスクは依然として存在します。
セルフ式のガソリンスタンドの場合は消防法により監視カメラなどの監視設備が義務とされています。これは安全管理だけでなく、不正や犯罪の防止にも役立っています。
セルフ式ガソリンスタンドを狙った精算機荒らしや窃盗事件が多発するなど、特に被害を受けやすいのが深夜の時間帯となっています。24時間営業の店舗が増える中、効果的な監視システムが求められています。
監視カメラシステムは、監視の店員がボタンを押すことで給油できるようになり、タバコを吸いながら給油しようとしていたり、携帯缶に入れようとした場合に監視カメラの画像を見て対応する仕組みになっています。
ガソリンスタンドで設置する防犯カメラは200万画素以上の画質が推奨され、閉店後の侵入窃盗やいたずらを防止するなら赤外線照射機能を持った防犯カメラを使うことで夜間もしっかりと監視・記録をとることができます。
静電気による火災を防ぐには、正しい手順を守ることが大切です。静電気除去シートへのタッチは1秒ほどで十分で、導電素材を通して計量機から大地へと電気が瞬時に逃げるよう設計されており、確実に放電するためには必ず素手で触れることが大切です。
手袋をしたまま静電気除去シートに触れると、体に溜まっている静電気を完全に除去できません。給油前には必ず手袋を外して静電気除去パッドに触れましょう。
また、給油中に車内へ戻ると、シートとの摩擦で再び静電気が発生し、再びノズルを握った際に放電して着火するおそれがあり、実際に「給油の再開時」や「給油終了後」に発生した静電気事故も報告されています。給油中はその場を離れず、最後まで作業を完了させることが鉄則です。
静電気が原因の火災は毎年発生しており、こうした火災の多くは空気が乾燥していて、静電気の発生しやすい冬場に集中しています。
乾燥する季節は、フリースとナイロンなど化学繊維同士の組み合わせで帯電しやすくなり、静電気を抑えるには綿やウールなど天然素材の服を組み合わせ、給油前に静電気除去シートで放電することが大切です。また、体や肌の保湿も帯電防止に効果的です。
給油口周辺はガソリンの蒸気が漂っており、わずかな火花でも引火する危険があり、スマートフォン内部のスイッチなどで生じる微小な火花が着火源となる可能性があるため、給油中の使用は厳禁です。
最近では、スマートフォンアプリで給油代金の支払いができるサービスも増えています。スマホのアプリでガソリン代が値引きになったり、支払いができる給油機が普及しており、スマホの発する静電気その他は安全上支障はないとされています。
ただし、給油中のスマホの使用は通話や画面を操作することで注意力が散漫になり、吹きこぼし等につながるため、給油作業中にスマホで通話したり画面を注視したり各種操作を行うのは注意力散漫になりトラブルの元になることを覚えておきましょう。決済が完了したらスマホはポケットなどにしまってから給油作業をするのが賢明です。
ガソリンスタンドでの携帯電話検知と安全管理は、科学的な検証と実務的な安全対策の両面から考える必要があります。東京消防庁の実験では通常の使用で引火しないことが確認されていますが、注意散漫による事故リスクや、わずかでも火災の可能性がある以上、給油中は携帯電話の使用を控えるべきです。
セルフ式ガソリンスタンドでは監視カメラシステムによる安全管理が法律で義務付けられており、スタッフが遠隔で状況を確認しながら給油許可を出す仕組みになっています。私たち利用者も、静電気除去シートを素手で触れる、給油中は車内に戻らない、スマホ操作は控えるなどの基本ルールを守り、安全な給油を心がけましょう。
特に冬場は静電気による火災事故が増加する傾向にあるため、天然素材の服を選ぶ、保湿を心がけるなどの対策も有効です。ガソリンは危険物であることを常に意識し、給油作業に集中することが事故防止の鍵となります。
Q1: ガソリンスタンドで携帯電話を使うと本当に火事になりますか?
A: 東京消防庁の実験では、通常の使用では引火しないことが確認されています。しかし、注意散漫による吹きこぼしや、わずかでも静電気による引火の可能性があるため、給油中の使用は控えるべきです。消防庁も「電子機器使用の安全性が確認されているとはいえ、利用者には給油中の操作は必ず控えてほしい」と強調しています。
Q2: スマホ決済アプリを使う場合はどうすればいいですか?
A: 決済操作は給油前または給油後に行い、給油作業中はスマホをポケットにしまっておくことをおすすめします。給油作業に集中することで、吹きこぼしなどの事故を防ぐことができます。
Q3: 静電気除去シートはどのように使えばいいですか?
A: 必ず素手で触れることが大切で、1秒ほどのタッチで十分です。手袋をしたままだと静電気が除去できないため、給油前には手袋を外しましょう。また、給油中は車内に戻らず、最後まで作業を完了させることが大切です。
Q4: セルフ式ガソリンスタンドでは監視カメラで何を見ていますか?
A: 監視カメラの画像を見て、タバコを吸いながら給油しようとしていたり、携帯缶に入れようとした場合に対応する仕組みになっています。安全管理と不正防止のため、給油許可を出す前に状況を確認しています。
Q5: 冬場に特に気をつけることはありますか?
A: 静電気が原因の火災の多くは空気が乾燥していて、静電気の発生しやすい冬場に集中しています。化学繊維同士の重ね着を避け、綿やウールなど天然素材の服を選ぶこと、肌の保湿を心がけること、そして必ず静電気除去シートに触れることが大切です。