「誰もいないはずなのに通知が届く」「雨の日や夜間だけアラームが増える」。店舗やオフィス、倉庫、駐車場で防犯カメラを運用していると、このような悩みが生じることがあります。
そのたびに映像を確認する負担は小さくありません。不要な通知が続けば、本当に対応が必要なアラームも埋もれやすくなります。
改善するには、まず通知を発生させた映像を見て、検知方式・設定・設置環境を順に確認しましょう。検知エリアや感度の調整で改善できる場合もあれば、人や車両を分類するAI検知が適している場合もあります。
この記事では、動体検知とAI検知の違い、誤検知の原因、現場で見直したい設定を解説します。あわせて、Hikvision AcuSenseを活用した新規設置・既存設備の更新と、夜間の映像確認を支えるColorVu 3.0も紹介します。

動体検知は、撮影範囲内の動きを捉え、録画や通知などにつなげる機能です。従来型の画像変化を利用する方式では、映像を構成するピクセルの変化から動きを判定します。
この方式では、人の通過だけでなく、風に揺れる木の枝や車のヘッドライトによる明るさの変化も検知のきっかけになります。映像に変化があったことは分かっても、その原因が監視対象かどうかまでは区別しにくいのです。
一方、AI検知には、映像内の対象を人や車両などに分類する方式があります。監視したい対象を指定することで、無関係な動きによる通知を絞り込めます。Hikvision AcuSenseの技術紹介でも、人・車両分類による不要なアラームの低減が説明されています。
| 比較項目 | 従来型の動体検知 | 人・車両分類に対応したAI検知 |
| 主な判定の考え方 | 映像内の変化を捉える | 対象の特徴を解析し、人や車両などを分類する |
| 木の揺れ・影・光への反応 | 動きとして検知する場合がある | 監視対象以外として除外しやすい |
| 通知の絞り込み | 検知範囲、感度、時間帯などで調整 | 対応機種では対象の種類やイベント条件も組み合わせる |
| 向いている使い方 | 環境変化が少ない場所で動きを把握する | 人や車両に関係するイベントを優先して確認する |
ただし、人を正しく検知していても、店舗前の歩道を通るたびに通知されれば、管理者には不要なアラームになります。「何を検知するか」に加えて、「どこで、いつ通知するか」を決めることが大切です。

雨や風、光の変化など、通知が発生した場面の共通点から原因を確認する。(AI生成のイメージ図)
通知が増えたときは、発生時刻の録画を数件確認してください。「風が強い時間帯」「車が通過した直後」など、共通点を見つけると見直す場所を絞れます。
| 通知が増える場面 | 考えられる原因 | 最初に確認したいこと |
| 風が強い日 | 樹木、旗、のぼり、つり下げ看板の揺れ | 揺れる物が検知エリアに入っていないか |
| 雨や雪の日 | 降雨・降雪、レンズ周辺の水滴による映像変化 | 発報時の映像と、レンズ周辺の状態 |
| 夜間に白い物が大きく映る | レンズ近くの虫や蜘蛛の巣、赤外線の反射 | カメラ前面の汚れや、近くの反射物 |
| 車の通過時、日差しが変わる時間帯 | ヘッドライト、影、明るさの変化 | 道路や反射面を含む画角になっていないか |
| 天候に関係なく頻発する | 広すぎる検知範囲、高すぎる感度、カメラの振動 | 検知設定と、取付部のぐらつき |
例えば、駐車場内だけを監視したいのに前面道路まで検知範囲に含めると、通過車両の通知が増えます。これは必ずしも機器の故障やAIの誤判定ではなく、監視目的と設定が合っていない状態です。
反対に、誰も通っていないのに画面全体が揺れる場合は、取付状態の確認が先になります。設定だけで解決しようとせず、実際の映像から原因を切り分けましょう。
最初に、「店舗の出入口」「倉庫の立入禁止区画」「駐車場の敷地境界」など、確認が必要な場所を決めます。そのうえで、道路、揺れる樹木、反射の強い面など、目的に関係のない部分を検知範囲から外します。
ただし、範囲を狭めすぎると、人が通る経路を外してしまいます。実際に監視対象が通る位置と、カメラに映る姿の大きさを確認しながら調整してください。
感度を下げると小さな変化への反応を抑えられる場合がありますが、下げすぎれば必要な動きも検知しにくくなります。適切な値は、対象までの距離や背景、使用する検知機能によって変わります。
一度に複数の設定を変えず、感度を一段階ずつ調整して、人が歩いたときに通知されるかを確かめましょう。
営業中の来客と、閉店後の立入りでは、同じ人の動きでも意味が変わります。閉店後の侵入を把握したい場合は、対応機器の検知・通知スケジュールを使い、警戒が必要な時間帯に合わせます。
このとき、録画スケジュールも一緒に確認してください。通知を減らしたいだけなのに、必要な時間帯の録画まで止めてしまわないよう、検知・通知・録画の設定をそれぞれ確認することが重要です。
近くの壁や軒、ガラスなどが夜間の補光を反射していないか、レンズ周辺に汚れや蜘蛛の巣がないかを確認します。清掃は機器の取扱説明書に従って行い、取付部のぐらつきや向きのずれがある場合は施工業者に相談しましょう。
画角を広く取りすぎて人が小さく映る場合や、棚・柱の陰で姿が隠れる場合も、設置位置の再検討が必要です。撮影範囲に入っているだけで、必要な検知や映像確認ができるとは限りません。
設定後は、管理者やスタッフが監視対象の経路を歩き、昼間と夜間の両方で動作を確かめます。通知が届くかだけでなく、録画で何が起きたか分かるかまで確認してください。
調整前後で、不要な通知と必要な検知の両方を見比べます。通知件数が減っていても、必要なイベントを見逃していれば再調整が必要です。
屋外のように環境変化が多い場所では、設定の調整に加え、AcuSenseによる人・車両分類を検討できます。ディープラーニングで対象を分類し、植物や小動物、光の変化などに起因する不要なアラームを抑える技術です。
対応する機器では、人・車両分類とライン越え検知、エリアへの侵入検知を組み合わせられます。例えば、次のように監視目的からルールを考えると、運用に合った設定を選びやすくなります。
| 設置場所 | 確認したいイベント | 設定の考え方 |
| 店舗の出入口 | 閉店後に入口へ近づく人 | 人物を対象に、入口周辺と警戒時間帯を設定する |
| 倉庫の区画境界 | 関係者以外の立入りを確認したい区画への進入 | 人物を対象に、境界線や侵入エリアを設定する |
| 駐車場の入口 | 敷地内へ進入する車両 | 車両を対象に、前面道路と敷地の境界を設定する |
これらは設定の考え方の例です。人・車両分類だけで、従業員と不審者、許可車両と無許可車両を判別できるわけではありません。通知された映像を確認し、対応が必要かを判断する運用と組み合わせます。
利用できるイベントや対象指定は機種によって異なるため、導入時はAcuSenseの対応機能と各製品の仕様を確認しましょう。
新しく設置する場合は、人・車両分類に加えて、設置場所、必要な画角、対象までの距離を整理します。同じ解像度でも、レンズや設置位置が変われば人物の映る大きさは変わります。
DS-2CD2046G2-I(U)は、4MPのAcuSense対応ミニバレット型ネットワークカメラです。人・車両分類、Powered-by-DarkFighterによる低照度性能、IP67の防水・防塵性能を備えています。

DS-2CD2046G2-I(U)|4MP AcuSense対応ミニバレット型ネットワークカメラ。画像出典:Hikvision Japan製品ページ。
敷地への進入経路や屋外の出入口など、監視方向が明確な場所の候補になります。設置前には、必要な範囲が入るレンズを選び、その範囲の端でも対象を確認できるかを確かめてください。
DS-2CD2146G2-I(SU)は、4MPのAcuSense対応ドーム型ネットワークカメラです。人・車両分類に加え、IP67の防水・防塵性能とIK10の耐衝撃性能を備えています。

DS-2CD2146G2-I(SU)|4MP AcuSense対応ドーム型ネットワークカメラ。画像出典:Hikvision Japan製品ページ。
店舗入口や共用通路などでは、設置高さや周囲の設備との干渉も含めて検討します。ドーム型・バレット型のどちらを選ぶ場合も、見た目だけで決めず、昼夜の撮影条件と保守のしやすさまで確認しましょう。
既存設備の更新では、カメラをすべて交換する前に、録画装置側で映像を解析する方法を検討できます。NVR(ネットワークビデオレコーダー)はネットワークカメラの映像を記録する装置で、AI解析に対応したモデルでは、接続映像から人や車両に関係するイベントを検知できます。
候補の一つが、最大8台のIPカメラ入力と8ポートのPoEに対応するDS-7608NXI-K2/8P(D)です。PoEは、対応カメラへの給電と通信をLANケーブルで行う仕組みです。

DS-7608NXI-K2/8P(D)|8ポートPoE搭載AcuSenseネットワークビデオレコーダー。画像出典:Hikvision Japan製品ページ。
このモデルは、動体検知2.0と周界防護で、NVR側の分析能力が異なります。 日本向け製品仕様では、動体検知2.0は全チャンネル・4MPに対応し、エンハンストSVCモード有効時は最大8MPとされています。一方、人・車両を対象とする周界防護のNVR側分析は、2チャンネル・4MPです。
つまり、「8台接続できること」と「8台すべてで同じAI分析を行えること」は分けて確認する必要があります。カメラ側で解析する構成も含め、利用する機能、解像度、機器の組み合わせを導入前に確認してください。
また、このモデルは選択範囲のスマート検索とスマート再生に対応しており、録画確認の効率化にも役立ちます。既存カメラを活用したい場合は、次の情報をそろえて相談すると構成を検討しやすくなります。
夜間だけ通知が増える場合は、発報時の映像を見て、虫や反射、車のライトなどの影響を確認します。同時に、検知した人や車両を録画で確認できる画質になっているかも重要です。
画面が明るく見えても、歩いている人がぶれていたり、車のライトの周囲が白くつぶれていたりすると、通知後の判断が難しくなります。夜間の確認では、静止画だけでなく、実際に移動する対象の映像を見てください。
こうした場面で検討できるのが、ColorVu 3.0対応のDS-2CD2047G3-LI2UY/SLです。4MPのミニバレット型で、HikAI-ISPによるノイズ低減、低照度でのカラー撮影、人・車両分類、赤外線と白色光を組み合わせたスマート補光に対応しています。

DS-2CD2047G3-LI2UY/SL|ColorVu 3.0対応ミニバレット型ネットワークカメラ。画像出典:Hikvision Japan製品ページ。
各機能の役割を整理すると、選ぶ理由が明確になります。
カラー映像を得られる条件は、周囲の明るさや補光設定によって変わります。設置場所では、動く人の服装や車両の様子が分かるか、ライトが近隣や通行者にまぶしくないかまで確認しましょう。光や音による警告は、必要な対象と時間帯に合わせて設定します。
改善する場合もありますが、原因によって対策は異なります。道路や樹木が検知範囲に入っている場合は、先に範囲を見直しましょう。感度は、必要な人や車両の動きが引き続き検知されることを確かめながら調整します。
発生する可能性があります。対象が小さい、姿が隠れる、照明条件が悪いなど、現場の条件はさまざまです。また、正しく人を検知していても、監視対象外の通行人であれば不要な通知になります。分類機能と範囲・時間帯の設定を合わせて見直してください。
対応するAcuSense NVRなどで映像を解析する方法があります。ただし、利用できる機能はカメラとの互換性、解像度、分析チャンネル数などで変わります。既存機器の型番を確認したうえで、必要な検知機能を利用できる構成か確認しましょう。
通知時刻の録画を確認し、虫、水滴、蜘蛛の巣、補光の反射、車のヘッドライトなどが映っていないかを見ます。原因を絞って清掃・画角・検知設定を調整した後、実際に人が通ったときの検知と録画を再確認してください。
防犯カメラの誤検知を減らすには、まず通知された映像から原因を確かめ、検知範囲、感度、時間帯、設置状態を順に見直します。そのうえで、人や車両に関係するアラームを優先したい場合はAcuSense、既存設備を生かす場合は対応NVR、夜間の映像確認を改善したい場合はColorVu 3.0を検討すると、目的に合った選択がしやすくなります。
目指すのは、必要な出来事を見逃さず、通知後に映像で状況を確認できる運用です。導入や更新を検討する際は、ネットワークカメラ製品一覧やColorVu 3.0シリーズを確認し、設置場所と現在の機器構成を添えてHikvision Japanへお問い合わせください。