顔認証は、オフィスや小規模店舗、集合住宅などの民間施設における従業員・住民・来訪者の入退室を効率化できる一方で、「写真を見せるだけで認証を突破されるのではないか」と不安に感じる施設所有者や管理会社、小規模事業者も少なくありません。実際、写真やデジタル画像を使った提示攻撃は、顔認証システムで考慮すべき課題の一つです。そのため、導入時には顔認証の精度だけでなく、なりすまし防止機能についても確認することが重要です。

写真やデジタル画像を利用した提示攻撃は、実際に確認されている脅威です。そのため、顔認証システムでは、本人の顔を正しく認識できるかだけでなく、提示された画像が本人そのものではない可能性も考慮する必要があります。NISTは、印刷した写真や他人のデジタル写真を使って認証端末を欺き、施設などへのアクセスを試みる行為を、Presentation Attack(提示攻撃)の例として挙げています。
ただし、「顔認証は写真で簡単に突破できる」と一概に言うことはできません。認証方式やなりすまし対策はシステムによって異なるため、導入時には各製品の仕様を確認することが重要です。
写真による攻撃が問題となるのは、認証端末が取得した顔画像だけでは、その画像が実際の人物を撮影したものかどうかを判断できない場合があるためです。そのため、企業の入退室管理システムを選定する際は、顔認証率だけで判断せず、なりすまし対策も確認項目に含める必要があります。
顔認証精度は、登録された人物を正しく認証できるかを示す指標です。一方、なりすまし防止は、提示された顔画像などが攻撃に利用されていないかを判定する仕組みを指します。両者は関連していますが、同じ性能を示すものではありません。
そのため、製品仕様に「顔認証率」が記載されていても、その数値だけで写真による攻撃への耐性を判断することはできません。企業の用途に応じて、顔認証精度や認証方式、なりすまし防止機能などを個別に確認することが大切です。
Presentation Attack Detection(PAD)は、提示攻撃を自動的に検知する仕組みです。NISTでは、liveness detection(生体検知)などの方法を用いて、生体情報が撮影地点に実際に存在する生きた人物から取得されたものかどうかを判定する考え方が説明されています。
この考え方を踏まえると、顔認証システムを比較する際は、「何人まで登録できるか」「どの程度の速度で認証できるか」だけでなく、写真などを使った提示攻撃への対策が製品仕様に明記されているかどうかも確認することが重要です。
施設所有者、管理会社、小規模事業者が顔認証ターミナルを選ぶ際は、住民・来訪者や従業員の日常的な通行を円滑にする目的に合わせ、次の項目を確認すると比較・検討しやすくなります。
| 確認項目 | 確認する内容 | 導入時のポイント |
| 認証精度 | 顔を正しく認証できるか | 認証精度と実際の利用環境を分けて確認する |
| なりすまし防止 | 写真などによる提示攻撃への対策 | 製品仕様に明記されているか確認する |
| 認証方式 | 顔認証・カード認証などの方式 | 利用者や施設の運用に合わせて選ぶ |
| 容量 | 顔・カード・イベントの登録・保存容量 | 利用人数と記録量を踏まえて選定する |
| 設置環境 | 認証距離、温度、屋内外などの条件 | 設置条件と製品仕様を照合する |
| データ保護 | 保存先、暗号化、アクセス権限 | ローカル・クラウド別に管理主体と保護策を確認する |
Hikvision JapanのMinMoeシリーズには、公式仕様に「顔なりすまし防止(Face anti-spoofing)」機能が明記されているモデルがあります。例えば、DS-K1T673TDWXは、7インチのLCDタッチスクリーンと2MPデュアルレンズを搭載し、顔認証距離0.3~3m、顔認証時間0.2秒未満/ユーザー、顔認証率99%以上に対応しています。

さらに、同モデルは顔容量100,000件、カード容量500,000件、イベント容量150,000件に対応しており、Mifare、DESfire、Felicaの各種カードを利用できます。このように、顔認証に加えてカード認証も組み合わせた運用を検討できる点は、企業のアクセスコントロール環境を設計する際の判断材料になります。
顔認証ターミナルは、オフィス、工場、倉庫、物流施設、小規模店舗、ホテル、介護・福祉施設、集合住宅のエントランスなど、管理者が明確な敷地・建物内で、住民・来訪者や従業員の入退室を支援する用途に適しています。公共道路を通行する不特定多数の監視や、警察・自治体の取締り用途を目的とするシステムではありません。
重要なのは、業界名だけでなく、利用者が自社・自施設の住民、来訪者、従業員などに限定されるかを確認することです。利用人数や入口の構造、認証方法、既存のアクセスコントロール設備などを整理したうえで、日常の通行効率と施設管理に必要な範囲に機能を限定します。
DS-K1T673TDWXは、顔認証に加えてM1(Mifare)、DESfire、Felicaの各種カードに対応しているため、運用要件に応じて認証方式を選択できます。また、混雑時のスムーズな運用を支援する、最大5人を同時に認識できるモードにも対応しています。
認証精度に加えて、認証距離、処理時間、登録容量、イベント容量、通信方式、カード対応、なりすまし防止機能なども確認すると、実際の運用を想定しながら比較しやすくなります。
例えば、DS-K1T673TDWXは、顔認証距離0.3~3m、顔認証時間0.2秒未満/人、顔容量100,000件、イベント容量150,000件を公式仕様として公開しています。また、Wi-Fi、10/100/1000 Mbpsの有線ネットワーク、RS-485、Wiegandなどのインターフェースにも対応しています。
端末を選定する際は、仕様値だけを比較するのではなく、実際の設置環境と照らし合わせることが重要です。DS-K1T673TDWXは、動作温度-30~60℃、動作湿度0~90%(結露なし)、保護等級IP65という仕様が公開されています。
そのため、屋内外の設置条件、利用者の動線、認証距離、既存設備との接続方法などを整理したうえで適切なモデルを選びます。設置時は、端末の撮像範囲が施設内の認証位置に収まり、公共道路や隣接敷地を不必要に撮影しない向きに調整することが大切です。
ローカル保存構成を採用する場合は、顔画像、顔特徴データ、認証履歴を施設内の機器または顧客管理サーバーに保存し、管理権限を施設所有者・管理者に限定できるかを確認します。ハードウェア提供者を含む第三者が、顧客の明示的な許可なく保存データへアクセスできない権限設計と契約条件を明確にすることが重要です。
クラウドサービスと連携する場合は、送信するデータ、保存場所、保存期間、削除方法、アクセス権限を事前に明示し、通信経路と保存データの暗号化、多要素認証、操作ログ、権限分離などの保護策を確認します。
いずれの構成でも、利用目的を通行管理に必要な範囲に限定し、利用者への通知、必要最小限のデータ取得、保存期間終了後の削除手順を運用ルールとして定めることが大切です。
Hikvision Japanの営業窓口では、施設所有者、管理会社、小規模事業者からの新規導入に関する問い合わせの際に、会社情報や業種、検討中の施設と利用目的、住民・来訪者や従業員の通行条件などを入力できます。そのため、製品仕様だけでなく、データ保存方法やアクセス権限を含む具体的な導入条件について相談できます。
顔認証システムを選ぶ際は、認証精度だけでなく、写真などを使った提示攻撃への対策、認証方式、登録容量、設置条件、既存設備との接続方法に加え、データの保存先、暗号化、アクセス権限も確認することが重要です。本システムは、管理者が明確な民間施設内で、住民・来訪者や従業員の通行を円滑にする用途を想定しています。写真による提示攻撃は想定すべきリスクであり、「顔認証率99%以上」という数値だけで写真による攻撃への耐性を判断することはできません。

Hikvision JapanのMinMoeシリーズでは、DS-K1T673TDWXの公式仕様に「顔なりすまし防止(Face anti-spoofing)」機能が明記されています。導入を検討する施設所有者、管理会社、小規模事業者は、利用人数、設置環境、認証方法、必要なシステム連携に加え、データの保存先とアクセス権限を整理したうえで、Hikvisionの顔認証ターミナルに関するお問い合わせフォームよりご相談ください。